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           「眠りのしくみ」の謎が解けた!
○睡眠の種類と脳波
    


睡眠の種類と脳波

睡眠の状態は、脳波を調べることでわかる。
睡眠時の脳波は、レム睡眠とノンレム睡眠の2つのタイプに分かれる。
レム睡眠はまぶたの下の眼球運動をともなう睡眠で、夢をみている状態。
脳を覚醒させる準備の眠りともいえる。
ノンレム睡眠は本当に脳を休ませる眠りで、さらにS1〜S4の4段階に分かれる。
なかでもとくにS3とS4は、脳波の振幅が高くて周期の小さい波(徐波)が
現れる状態で、両方合わせて徐波睡眠とよぶ。
徐波睡眠はとくに深い眠り(熟睡)である。
レム睡眠とノンレム睡眠は、一晩のうちに約90分周期で交互にくり返し現れる。


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睡眠は身体ではなく脳のために必要な休息

ヒトはなぜ眠るのでしょう? 
素朴な疑問ですが、その謎に正しく答えられるようになったのは、
それほど昔のことではありません。
睡眠といえば、身体の疲労を取るために必要なものというイメージが
強くあります。ところが、睡眠とは身体よりもむしろ、脳にとって
大きな意味を持つものだということが明らかになっています。
20世紀のはじめ、フランスで犬を使った断眠実験が行われました。
つまりできる限り眠らせないようにすることで、どんなことが起きるかを
確かめようとしたのです。その結果、269時間眠らせられなかった犬は、
脳細胞に大きなダメージを負い、死んでしまうものもありました。
しかし、脳以外の身体には大きな異常は見られなかったのです。
私たち人間も、睡眠不足になると非常に不快な気分になりますが、
その原因は脳の疲労にあるのです。
もし眠らずにいたならば、私たちの脳はオーバーヒートを起こしてしまい、
脳細胞がダメージを受けてしまうことでしょう。
脳細胞は、ある時期を過ぎると増えることができません。
しかも、脳は体重の2%ほどの重さしかないにもかかわらず、
身体全体が消費するエネルギー量の18%を使うという、
エネルギーコストの高い臓器なのです。
この「脳」を、一生を通じて壊さないよう、大切に扱うためには
日常の定期的なメンテナンスが必要になります。それが睡眠であり、
眠ることによって定期的に意識レベルを下げて休ませ、
その間に点検・修理を行うというわけです。


脳のオーバーヒートを防ぎ体も休めるノンレム睡眠

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があります。
ここで、レム睡眠とノンレム睡眠について簡単に説明しておきましょう。
これらはいずれも睡眠中に脳波計に現れる脳波の名前です。
睡眠が深くなるほど脳波は周期が小さくて振幅が高い波となって現れます。
レム睡眠とは「夢見睡眠」とも呼ばれ、眼球が上下左右に速く動いているのが
特徴で、英語のRapid Eye Movement(急速眼球運動)の頭文字を取って
レム(REM)睡眠と名づけられました。

レム睡眠以外の眠りをノンレム睡眠と呼びます。このタイプの睡眠には、
脳波の出現パターンによって4つの段階があります。
第1段階(S1)は入眠状態でまだ浅い眠りです。
第2段階(S2)は比較的安定した睡眠状態で、ヒトのノンレム睡眠ではいちばん
多くを占めています。
第3(S3)、第4段階(S4)は深い睡眠の状態で、脳波にはデルタ波が現れ、
「徐波睡眠」だとか「深睡眠」とも呼ばれます。よく眠れた、ぐっすり寝たと
感じるときは、この徐波睡眠にある状態が多いといえます。

また、難しい問題に取り組んだりした後には徐波睡眠が増えることがわかっています。
このことからも、深いノンレム睡眠は脳を休める働きがあると考えられます。
ただし、代々木睡眠クリニック院長の井上雄一先生は次のように一言つけくわえます。
「たしかにノンレム睡眠は脳を休ませるといえるでしょう。
しかし、この状態の時には心拍数も減るし体温も下がる。基礎代謝も下がります。
その観点から見ると、脳だけを休ませているというより、身体も同時に
休ませていることに違いはないのです」
〈睡眠は脳のためだけ〉にあるというとなにやらショッキングですが、
井上先生のように考えれば自然のことに思われてきます。


まだ正体は不明だが身体を休ませるレム睡眠

それではレム睡眠にはどんな機能があるのでしょうか。
S1は波形こそレム睡眠とよく似ているものの、寝入りばなの浅い睡眠で、
少し体に触れるだけで目がさめてしまいます。同じような波形でも、
レム睡眠の場合にはなかなか目覚めず、無理に起こすと夢を見ていたと答えるの
です。
レム睡眠が「夢見睡眠」と呼ばれるゆえんです。
レム睡眠は約90分の周期で繰り返し現れ、1回の持続時間は朝に近づくほど
長くなります。また、睡眠時間全体に対するレム睡眠の割合は成人で約25%ですが、
子どもはこれよりも多く50%を占める時期があります。
しかし高齢者になると減少していき、10%以下になることが明らかになっています。
ノンレム睡眠が脳を休めるためにある一方で、レム睡眠の間は脳細胞の活動が
上昇します。しかもその間、筋肉の力はゆるむので体は一定の姿勢を保つことが
できません。こうしたことからレム睡眠が持つ意味にはいろいろな説が考えられているのが現状です。

たとえば、高齢になるにつれてレム睡眠の割合が減りますが、このことと
高齢者の睡眠障害との因果関係は明らかになっていません。
学者のなかには、乳幼児期は脳が急速に発達する時期なので
レム睡眠の間に成長を促すホルモンの分泌やなんらかの刺激が
与えられているのではないかと考えている人がいます。

その一方で、レム睡眠は発生学的に「古い睡眠」であり、動物として進化するほど
少なくてすむものだと考える学者もいます。この睡眠中は冷血動物のように体温が
周囲の温度によって変化するためで、大脳が発達した動物ほどノンレム睡眠が
多く現れるのです。つまり、ノンレム睡眠は発生学的に新しい睡眠というわけです。

ヒトや動物の一生は生命進化の過程を反映していることがわかっていますが、
子どもの睡眠に「古い睡眠」であるレム睡眠が多いのも、成長を控えた子どもは、
生物としてみれば進化が遅れている状態を現しているのかもしれません。
さまざまな説が挙げられているなかで、確かなこともあります。
レム睡眠は明け方になるほど多く現れますが、これが欠けてしまうと
起きたときの気持ちよさがなくなってしまうのです。

たとえばお酒を飲み過ぎたときなど、いつもより早く目覚めてしまうことがありますが、
そんなときには明け方のレム睡眠が阻害されているために爽やかに感じられず、
再び眠ることも困難。そんな日は日中も疲労感が残ります。
そう考えると、ノンレム睡眠が「脳と身体を休める機能」があるのに対して、
レム睡眠は「身体を休ませる機能」を持つものということができそうです。

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