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           理想の睡眠時間はみな違う
○ナポレオンは短く、ノーベル賞の小柴教授は長い睡眠時間は
   8時間が理想というのはウソ?
○朝型と夜型の生活リズム
    


睡眠時間は8時間が理想というのはウソ?

私たちは昔から理想の睡眠時間は8時間と思い込まされてきたきた節があります。
しかし、医学的に見て「睡眠8時間説」には根拠がないようです。
「8時間というのは、単純に1日を3等分したにすぎないもの。
意味がありません。日本人の平均睡眠時間は7時間前後ですから、
6時間程度眠っていれば十分なのではないですか」
井上雄一先生(前出)はこういって、睡眠時間には「何時間寝なければならない」と
いう縛りはない、と説きます。
「睡眠に対する欲求は人それぞれで、一定しないのです。
真偽のほどはともかく、ナポレオンは3時間眠れば十分だったというし、
反対にアインシュタインやノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊教授は
毎日10時間以上眠る長時間睡眠者だといわれています。
つまり、睡眠時間が何時間であれ、目覚めたときによく眠れたと
感じられればいいのです」

では、科学的に見て「質のいい睡眠」とはどんなものでしょうか。
睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠の2種類があると述べましたが、
ひとつはノンレム睡眠のなかでも徐波睡眠と呼ばれる深い睡眠がある程度の時間、
途切れずに続くことが条件となります。さらに、S1、S2段階の浅いノンレム睡眠と
脳を活性化させるレム睡眠が適度に現れることが第2の条件です。
眠りの質が悪いと、疲れや眠気が取れずに日中もぐったりしてしまいます。
これは睡眠が不足しているときだけではありません。
必要以上に眠ったときも、寝覚めが悪く、身体が眠っているような起きているような
中途半端な状態が続いてしまうのです。



短睡眠者も長睡眠者も、熟睡の量は変わらない

それにしても、ナポレオンはなぜ3時間眠るだけで大丈夫だったのでしょう。
一方で、アインシュタインや小柴教授が10時間以上眠っていても、
頭が冴えた活躍ができたのも不思議です。
60歳以下で毎日の総睡眠時間が6時間以下の人を「短時間睡眠者」といいます。
これに対して、毎日の総睡眠時間が10時間以上の人を「長時間睡眠者」と呼びます。
両者の睡眠の質を比べてみると、実は面白いことがわかります。
というのも、短時間睡眠者の場合は浅い眠りの時間がほんの少ししか認められず、
徐波睡眠と呼ばれる深い睡眠がすぐに現れるのです。
そして、徐波睡眠の量は普通の人と変わらないことがわかったのです。
長時間睡眠者の方は、短時間睡眠者とは逆に浅い眠りや中途覚醒が
多いことがわかっています。しかし徐波睡眠の量は変わらず、全体的な眠りは浅くても
「確かに眠っている」という自覚は持てるのです。
以上のことからも明らかなように、睡眠時間は人によってさまざま。
自分にとって気持ちのいい目覚めが得られる睡眠がいちばんなのです。



体内時計で1日は約25時間になっている

赤ちゃんの時期を過ぎると、私たちは自然に1日に1回、まとめて眠るようになります。
昼と夜、気温の寒暖など、外部の環境は周期的に変化します。
その変化に合わせて生活することは、太古以来、生物が生きていくうえで重要な
適応条件だったといえます。私たちの体のなかには、この自然の変化に
適応する仕組みが組み込まれており、これを「生物時計」と呼んでいます。

生物時計は約25時間の周期で休息と活動の信号を脳から送り出し、
体内のリズムを作っています。この体内のリズムを「サーカディアンリズム」といいます。
日本語では「約一日リズム」だとか「概日リズム」と訳します。
1日は24時間なのに生物時計では約25時間。この1時間ほどのずれは、
地球の自転で起こる明暗周期に一致するように自然に調整されます。
つまり、朝になって起き抜けの光を浴びることにより生物時計はリセットされて、
体内リズムが活動の方向に向かうのです。
反対に夜になると体温は次第に下がって休息期に向かっていきます。
呼吸や血圧も自然に休息レベルに落ちていき、体は睡眠へと向かい、
眠気が生じてくるのです。
しかし、人間には朝方人間と夜型人間があります。
井上雄一先生(前出)によると、その違いは遺伝的なものと
生活習慣から生まれるものだということで、生活習慣を変えることによって
ある程度は夜型を朝方に、朝方を夜型に変えることが可能だといいます。
けれども、もともとこのような違いはどうして生まれてくるのでしょうか。

生物時計は、起床後に浴びる光によってリセットされると述べました。
しかし、なかには生物時計の針が進んでいたり、遅れていたりすることがあるのです。
針が進んでいる場合、早い時間帯に体内リズムが活動に向かっていきます。
つまり、早寝・早起きの朝方になるのです。反対に、生物時計の針が遅れていると、
襲い時間帯になってから体が活動的になってきますから夜型人間になります。
針が進んでいるのか、あるいは遅れているのかを明らかにするには、
体の深部体温(口中や鼓膜、直腸内で計る体温のこと)を測定します。
たとえば直腸温を計ったとき、普通の体内リズムを持つ人は午後5〜6時に
最高値を示し、午前4時頃に最低値を示す、きれいな正弦曲線を現します。
ところが、朝方人間は午後3時頃に最高値を示し、午前0時前後に最低値になります。
他方、夜型人間は午後9時前後に最高値を示し、翌朝6時頃に最低値となります。
現在では都市では生活が24時間型になり、朝方でも夜型でもそれほど不都合なく
暮らせるようになってきています。規則正しく生活できるかぎり、
朝方・夜型のどちらがよい、ということはありません。
受験生のなかには、朝方の方が勉強の効率が上がるので、
睡眠週間を変えるべきだと予備校などでいわれることがあるようです。
しかし、現実には偏り方を変えるのは容易なことではなく、
無理に夜型を朝方に変えようとするよりは、本来の自分の型に合わせて
勉強するのがいちばんです。
もっとも、社会に出ると、偏り方が極端な場合には何らかの問題が生じる可能性もあるでしょう。
その場合、どの程度まで治すことができるのか。
今のところは井上先生がいうように、生活習慣を改めて、
できるかぎりの対応をするしかないようです。



睡眠で美肌はウソだが「寝る子は育つ」は本当

快眠は美容にもいいといわれれば、誰しもうなずいてしまうところ。
一説では、ホルモンの一種が眠っている間に分泌され、それが細胞の新陳代謝に
有効な作用を及ぼしているともいわれているようです。
ところが科学的に見て、睡眠が美容にいいという根拠はどこにもないというのが、
どうやら現実のようです。井上先生が証言します。
「美容と睡眠との関係にはどこにもデータがないのです。
実際、あまり眠らなくても肌がしっとりしている女性は少なくありません。
よく眠ると美容にいいというのは迷信といってもいいでしょう」
それでは「寝る子は育つ」の方はどうなのでしょうか。
ホルモンにはいくつもの種類がありますが、そのなかには眠っている間に
分泌されるものがあります。
そして、その代表格ともいえるものが「成長ホルモン」なのです。
成長ホルモンは子どもの発育にとって欠かせないもので、
骨や筋肉をつくるのに大きな作用をします。
そして、このホルモンは、ノンレム睡眠の中でも徐波睡眠と呼ばれる深い睡眠中に
大量に分泌されるという特徴を持っているのです。
ぐっすりと眠っている子どもは十分に成長ホルモンが分泌されているわけで、
「寝る子は育つ」とはまさに真実。睡眠は子どもにとって非常に大切なものなのです。


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