麻の蚊帳【平織・昭和の蚊帳】

昭和の蚊帳の種類

萌黄(もえぎ)の蚊帳

蚊帳は経(たて)糸と、緯(よこ)糸によって織られているのだが、蚊帳の種類としてはじめに出てくるのは、大陸から渡ってきたとされる「綿の蚊帳」だ。経糸も緯糸も綿100%の蚊帳がもっとも安価な蚊帳として、まず登場するのである。

昭和の蚊帳の価格表

蚊帳の価格表 西川

昭和60年、日本蚊帳商工組合の事務局理事長を務めた京都西川の価格表では、「純綿」の蚊帳は四畳半用で22,000円となっている。続いて、経糸が綿で、緯糸に麻を混紡したものが出てくる。緯糸の混紡率は麻30%、レーヨン70%の比率で、蚊帳全体では麻の比率は15%ほどになる。この蚊帳を「片麻」の蚊帳と命名している。価格表では、純綿の蚊帳よりも5,000円ほど高く、四畳半用で27,500円である。

次に登場する蚊帳が、緯糸だけでなく経糸も麻の混紡糸をもちいたもの、蚊帳全体で麻が30%入っている。「両麻」の蚊帳であり、こちらは39,000円となっている。

そして最後に登場する蚊帳が、経も緯も麻100%の本糸を用いた「純麻」の蚊帳で、こちらは108,600円。この本糸でできた純麻の蚊帳は、純綿の蚊帳のなんと五倍もの価格で、一般庶民にとっては高嶺の花の高級品であった。

いろいろある麻の蚊帳

裾ぼかしの蚊帳

お情け程度に、緯糸だけにレーヨンに麻30%を紛れ込ませて混紡した「片麻」の蚊帳でも、涼感漂う「麻の蚊帳」として、まだそんなにエアコンが普及していない時代に、寝苦しい日本の夏を快適にした。
このように「麻の蚊帳」といっても緯糸に混紡糸を用いた「片麻」、経・緯共に混紡糸の「両麻」、さらには本糸の「純麻」といった具合に三種類の蚊帳が存在していたのである。

誇らしげに、「宅の蚊帳は麻の蚊帳」とご近所さんに話をする奥さんの姿を想像すると、昭和の日本の夏の風物詩であった蚊帳を中心に、ほのぼのとした社会の様子が目に浮かんでくる。

蚊帳の外から蚊帳の中へ

蚊帳の外から蚊帳の中へ

夜の虫よけ、蚊対策だけではなく、高温多湿で寝苦しい夏を少しでも快適にするため、段階的に麻の量を増やすことによって、より快適な生活を実現していくことができた時代とその背景がそこにあったようだ。

麻の蚊帳は価値の高いものであったわけだが、麻の量を増やしていったその頂に純麻の蚊帳が君臨するという構図であった。夏の夜を快適に過ごすための麻の力は大きいのである。

言うまでもなく、麻素材の大きな特徴の一つは、きわめて優れた「クール素材」だということ。「夏は麻」と言われるように、夏用衣料素材として麻は高い評価を得ているから、麻織物の蚊帳もその麻の量が多ければ多いほどその価値は高かったのだ。

蚊帳の中は 暑かったか? 涼しかったか?

菊屋の蚊帳浅黄(あさぎ)の蚊帳

麻素材の大きな特徴の一つは、きわめて優れた「クール素材」だということ。「夏は麻」と言われるように、夏用衣料素材として麻は高い評価を得ているから、麻織物の蚊帳もその麻の量が多ければ多いほどその価値は高かったのです。

麻の蚊帳の中は涼しいのです。

一方、蚊帳の中は暑くてむさくるしかったと思い出す方は、「綿の蚊帳」を使っていた方だということが最近になって分かった。

もう一度、あのなつかしい蚊帳の中に入りたいものだ。

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