「共生・共眠」睡眠環境学会で発表

第18回(2002年)睡眠環境シンポジウムでのプログラム

 2002年(平成14年)10月9~11日 於)横浜国立大学

講演ならびに研究発表内容・発表者一覧

10月9日

講演1 熱の伝わり方  -熱の復権 : 墓場からのユートピア

  佐藤 忠  横浜国立大学 大学院 工学研究院

報告1 ふとんの性能評価と性能表示

-保温性、弾力性、形状測定、水分移動特性、耐久性、ドレープ性―

  川島 美勝  横浜国立大学 環境情報研究院

大会長講演  昼と夜の生活環境

―体温調節研究会からふとんの性能評価方法の完成までー
  川島 美勝  横浜国立大学 環境情報研究院

講演2 建築と生活
  樽崎 正也  大阪大学名誉教授

講演3 最近の空調技術

  菅原 作雄   三菱電機(株)

10月10日

研究発表1 睡眠環境と睡眠習慣(4)

 大学生の睡眠習慣と主観的睡眠様相

  西澤美幸 日本体育大学

研究発表2 入浴が睡眠脳波の徐波成分に及ぼす影響

  鴇田佳久 足利工業大学工学部人間情報工学部

研究発表3 体温調節系の分割モデルの検討

  飯島康介 横浜国立大学大学院 工学府

研究発表4 人体・寝床・寝室システムの数式モデル

  兵頭潤  横浜国立大学大学院 工学府

講演4 和風住宅における寝室 -就寝形態についてー

  鈴木亘  鶴見大学

講演5 睡眠姿勢と自律機能

  小川徳雄 愛知医科大学名誉教授

講演6 心と眠り

  梶井宏修 近畿大学

講演7 脊椎損傷者の褥創

  渡辺偉二 神奈川県総合リハビリテーション病院

パネル討論1 寝具寝装品に対する消費者からの要望
消費者から相談苦情や商品テストから見たふとん類の問題点
  事前公演 板倉ゆか子 国民生活センター

  司会 古田土賢一 山崎直 板倉ゆか子 篠田美佐子
  亀川秀男 小野進一 田中和昭・佳美 森本光秋

10月11日

研究発表5 香気成ノセルドールの鎮静作用による改善効果
  東條 聡  花王㈱東京研究所

研究発表6 枕の形状の違いが睡眠に及ぼす影響

  大山哲  久留米大学

研究発表7 「共生~共眠」睡眠環境改善 第三の鍵 安眠空間創造の一考察

   三島 治   有限会社 菊屋

研究発表8 体温調節系に及ぼす運動の影響

  渡辺城司 横浜国立大学大学院 工学府

研究発表9 新・寝返りベッドの評価 介護者における睡眠の質の向上

  森川雅司 三菱電機 エコエネシステム研究所

研究発表10 新・寝返りベッドの評価 被介護者における睡眠の質の向上

  阪井英隆 三菱電機 エコエネシステム研究所

研究発表11 三次元デザインによる寝具の沈み込み測定

  荒川一成 足利工業大学

研究発表12 健常者の敷きふとん・マットにおける体圧分布と寝姿勢

  中川雅彦 ㈱ロマンス小杉

研究発表13 睡眠時における末梢部皮膚血流の経過と睡眠時の体温調節モデル

  高柳恒  横浜国立大学

研究発表14 睡眠環境の実態調査と寝具を通じての熱移動

  高柳恒  横浜国立大学

研究発表15 複合環境を考慮した体温調節系モデルの検討

  中野篤  横浜国立大学

研究発表16 運動時における深部体温の変動

  酒川章  横浜国立大学

研究発表17 住宅の温熱評価 湿度の要求を加えたRTE-index

  佐藤洋子 横浜国立大学

研究発表18 寝姿勢の測定と評価 仰臥・横臥・伏臥の測定法

  川島美勝 横浜国立大学

講演9     不況時の企業経営

  後久 亮 後久亮税理解軽重無所

パネル討論  ベッドの機能と性能評価  司会 荻原多喜男

  パネラー  田中宏和 細川明浩 川窪義寛 大西簣 山崎勉
上田隆司 浅田英樹 川島美勝

講演10    ベッドの機能と現状

  田中宏和 フランスベッド㈱

講演11    介護用ベッドの機能と性能評価
  細川明浩 フランスベッド㈱

報告2  ふとんの耐久性実用調査最終報告
その1 耐久性実用評価の趣旨
  川島美勝 横浜国立大学
その2 寝具寝装品の差別化と業界の活性化
  河吉兼令晴 ㈱大阪西川
その3 買換え需要の拡大と消費者のニーズ
  吉兼令晴 ㈱大阪西川
その4 簡易測定の方法とモニター調査の方法
  中川雅彦 ㈱ロマンス小杉
その5 初期性能、最終性能とその比較 3年間の経時評価
  小松崎久恵 横浜国立大学
その6 耐久性試験における測定と実用調査結果の比較
  小松崎久恵 横浜国立大学
その7 睡眠環境の全国調査
  佐藤昌弘 フランスベッド㈱
その8 総括 ふとんの性能劣化と耐久性試験方法
  川島美勝 横浜国立大学

閉会   菅屋潤壹

「共生~共眠」睡眠環境改善 第三の鍵 

2002年睡眠環境学会で発表

2002年 第18回 睡眠環境学会で発表する三島治 於)横浜国立大学

(1)はじめに

現在、日本人の5人に1人の割合で睡眠覚醒障害を訴えていると言われる。
今年、7月の睡眠学会のシンポジウムでは日本人の半数不眠 3割が自覚症状ない潜在的不眠症 との発表もあった。
  ※不眠症であるかをチェックする → アテネ不眠尺度

睡眠に対しての不満を抱いている人の割合はもっと大きいものであり、眠りに対する専門的な助言やアドバイスが社会的にも必要となってきている。

より上質の睡眠をとるため多岐にわたる専門分野から、さまざまな助言・アドバイスがなされ、具体的な処置がとられるようになっている。

人々に「健康で快適な眠りを提供する」ことをミッションとして掲げている者として、どの分野で的確なアドバイスが出来るか、そしてどのネットワークを構築・活用してより適切な指導が出来るかが我が社会的存命の基準となるのであろう。

そこで、1999年、本学会で研究発表させていただいた「睡眠環境改善 第三の鍵 共生~共眠」を土台として日ごろの活動を振り返り、安眠コーディネーターとして力をつけていくことを目指したい。

(2)睡眠環境改善の実践活動

「より良き眠りの提供者を目指します」と看板を掲げておりますと、店頭やインターネットWeb上に「なかなか眠りに就くことが出来ない・夜中に何度も目をさます・よく眠られない・目覚めが悪い・朝起きると疲れている・・・」等々の問題解決を睡眠環境の改善、とりわけ寝具に求めてやってくる。

人が眠りに就くときの状況をその人を取り巻く睡眠環境とするならば、ここに次の三つの視点からの睡眠環境の改善が挙げられるであろう。

すなわち(1)物理的睡眠環境(2)身体的睡眠環境(3)心的睡眠環境、以上三分野をよりよいものに改善することによってよりよい眠りを手中におさめることが可能になると考え、夫々のステップアップを図っていく。

現在、自分が立っているポジションでは「物理的睡眠環境」の改善についての働きかけを専業として取り組んでいる。

ここでは快適睡眠環境として三つの条件を挙げている。まず①身体の各部分に過度の負担がかからない正しい寝姿勢を保つこと、次いで寝床内気候における②寝床内湿度50%、そして③寝床内温度33℃を如何にキープしていけるかの点である。

これらの安定的な物理的睡眠環境は人の睡眠中のさまざまなリズム、すなわち睡眠深度変化のリズム、体温の変化リズム、発刊量のリズム、各種ホルモン分泌のリズム等のサーカディアンリズムを安定化する土壌として、夫々の人に満足いく寝具を提供すべきである。

言い換えれば、寝具の機能性として前述した三つの条件を満たすものが求められていく。

この点でよく取り掛かる具体的な睡眠環境改善策が枕の選定であろう。

まず、正しい寝姿勢を保つべく頚椎を支える点である枕の吟味が取り組みやすい環境改善策である。人々からすると「よく眠られない・寝ていて朝起きると疲れている・肩がこる・・これはどうやら枕が原因ではないだろうか?」と言うことで相談にみえる。

あるべき枕の姿・かたちについて長年、学ばせていただいたことを中心に、その人の枕の高さを測り、実際に横になってもらいながら、その使用感や現在の睡眠環境の様子や困っている症状などについて、いろいろと伺いながらその方に合った枕を提案・提供をする。頚椎を中心に睡眠に適した寝姿勢を保つべく枕の使用によって、八割近くの方が肩こりの軽減や、目覚めたときのさわやかさを報告してくれる。

この枕の吟味を頚椎部分の点の選定とすると、次の課題は面に当たるところのグランド=敷き寝具の吟味となる。
あくまでも睡眠環境改善の取り組みやすさからの第二点ポイントと言える。物理的な睡眠環境構築において寝姿勢を保つ重要な要素であり寝床内気候にも大きな影響を与える最重要課題である。

固からず柔らからず適度なクッション性がをもち、腰部・胸部を凹ますことなく身体を支える支持性といった寝姿勢を保つ要素と寝床内気候をベストな状態(湿度50%、温度33℃)を保つ吸湿・透湿・放湿性と保温性を兼ねそろえた敷き寝具の導入が課題となる。

続いて、身体の上に掛ける掛寝具。ここには睡眠中の生理的な寝返りを妨害しない軽さ、追動性、フィット性とベストの寝床内気候を保つ吸湿・透湿・放湿性と保温性が問われてくる。

枕 → 敷寝具 → 掛寝具 と言った物理的な睡眠環境改善策には夫々の基準を設けて的確な商品提案が出来るよう努めていきたいものである。そこにこそ寝具専門店の社会的な使命があると言えよう。

(3)安眠空間創造についての一考察

取り組みの順序はともかくとして、物理的な睡眠環境について、点 → 面 → 空間 と検証していく方向で、さらに次なる空間の睡眠環境について考察をしていきたい。

すなわち、寝床を包む空間 → 部屋の空間 → 建築物の空間 → 地域~国 → 地球環境に至るまで我々が寝起きする環境について吟味するとしたらどのような指針が出てくるのであろうか。

この着眼からすると物理的な睡眠環境にとどまらず、第二の身体的な睡眠環境、さらには前回研究発表させていただいた「睡眠環境改善の第三の鍵、共生~共眠」で問題提起させていただいた心的睡眠環境の再構築にも言及が出来るのではないかと推測する。

元来、人は、起きて朝の陽の光を浴び、昼間はしっかり覚醒・活動し、文字通り地球と寝起きを共にして来た存在であり、その中で睡眠覚醒のリズム、ホルモンのリズム、自律神経のリズム、などサーカディアンリズムが刻み込まれて来た存在である。

現代における睡眠覚醒障害の原因がこの共生~共眠の生活からの逸脱が原因であろうことは想像に易い。

ならば原点に立ち睡眠環境の改善と言う視点から、さらに、寝床を包む空間 → 部屋の空間 → 建築物の空間 → 地域~国 → 地球 → 宇宙と広めていきたい。

(4)安眠空間としての蚊帳の効用

寝床から空間に移り、音、光、香り、空調等、さまざまな睡眠環境に波及していく中で、1996年から蚊帳(かや)の提案をはじめた。

道具は主目的で他に優れたものが登場すると、活躍の場を失う。
蚊帳の場合、蚊を防ぐ道具として、強力な殺虫剤が登場したのが大きかった。さらにアルミサッシが普及し、蚊帳を吊らなくても、蚊を防ぐことができるようになった。下水道も整備され、蚊も少なくなった。そのほか、エアコンなどの進出も蚊帳不要の要因となり、次第に蚊帳は表舞台から姿を消していった。

蚊帳はある日突然消えたわけではなく、気がついたら、なくなっていた感が強い。日本人全てが知っていた存在だったにもかかわらず、目の前から消えてしまうと、人々の頭の中からもきれいに消えしまった。ただ名前を聞くと、誰もがその姿を鮮明に思い出す。蚊帳はそんな存在ではないだろうか。

日本の家庭から蚊帳が消え、日本の夏を象徴するものとして、エアコンが台頭してきた。日本のほとんどの家庭でエアコンが備え付けられている。蚊帳が全盛のころ、電話がある家庭の方が少なかった。今、電話がない家庭を探すことはむつかしい。エアコンがない家庭を探すのも、電話に次ぐむつかしさかもしれない。

エアコンは蚊帳の代替品ではないけれど、私にとってはエアコンが蚊帳に取って代わられた感じが強い。ともかく、蚊帳は家庭から消えた。

子供たちは蚊帳を知らずに、エアコンの冷房づけの中で夏を過ごすようになってきた。子供たちの夏休みはセミやカブトムシを採ることより、テレビゲームをすることに夢中になっていった。

時代が変わるから、蚊帳がなくなってもしかたがない。

ふとん屋である私でさえ、蚊帳の復活をあきらめていたときがある。ところが、エアコンが全盛期を迎えるにつれ、エアコンの欠点が喧伝されるようになった。冷房病に悩まされる人たちが出てきた。

エアコンの冷房は人間の健康に悪影響をもたらす。特に、エアコンをつけっ放しにすると、身体がだるい、頭痛がする、夏風邪をひく、冷え性になる。エアコンによる様々な健康被害を訴える人が増えてきた。

エアコンをつけずに、気持ち良く暑い夏の夜を眠りたい。扇風機もつけたくない。何か良い方法は?その試みとして蚊帳の提案を始め、 その考えが蚊帳の普及につながっていった。

私たちの子供時代になかった病気の一つにアトピーがある。昔もあったかもしれないが、表面には出てこなかった。

このアトピー、蚊帳が姿を消したのと入れ違いにあらわれてきたような気がする。蚊帳は蚊を防ぐが、アトピーは蚊に攻撃されると、大変弱い。
蚊に刺されるとかゆい。初めはそんなにかゆくないが、子供はかいていると、気持ちがいいためかく。そのうち、かき過ぎて、皮膚に血がにじむ。変な水のようなものが出てくる。

そして、ひりひりと痛くなる。こんな症状がアトピー性皮膚炎ではないか。アトピーは子供が多いから厄介だ。

大人でもかかずにはいられない症状に、赤ちゃんなどは暑い夏の日に手袋をはめさせられて、かくのを防御させられる。そんな姿を見せられると、いたたまれない。

少しでも何とかならないかと思い、私もアトピーについて勉強してみた。アトピーはなぜ増えたのか?
アトピーは奇妙なという意味で、 アレルギー疾患といわれている。

原因は遺伝、体質、環境などが考えられるが、近年急速に増えたのは、遺伝や体質より、環境の変化が大きく影響していると思われる。

まず、 ①食環境の変化。食べ物においしいものが増えたのは喜ばしいが、私たちはタンパク質と脂肪を必要以上に取りすぎてしまった。さらに加工食品や外食による栄養摂取の偏り、土壌や栽培方法の変化で食品の栄養価が低下、ストレスによる栄養素の消耗、インスタント食品などに含まれる食品添加物の増加などがアトピーを引き起こすアレルゲンを増やしていったのではないだろうか。

つぎに②生活環境の清潔化。これは逆説的に見えるが、日本人の生活習慣や環境が清潔になり過ぎて、生物としての免疫力が低下し、感染症に冒されやすくなったため、アレルギーも過剰に反応し、アトピー患者を増やしたと私は思う。

そして、蚊帳を吊っていた時代はいわば、虫との共生時代だったが、今は殺虫剤で虫を抹殺する時代になった。虫から攻撃される機会は少なくなったものの、虫から攻撃されたら、アトピーなどになり、被害が甚大になるという構図ではないだろうか。

麻の糸で編まれた蚊帳の中は外より体感温度にして2~3度低く感じられ、不思議と涼やかな気持ちになる。その気持ちをもてば、エアコンを使わず、殺虫剤を使わずに子供たちに夏の夜を蚊帳の中で過ごさせることができる。そうすれば、きっと、アトピーが減り、他の病気も少なくなり、子供たちはもっと健康になるのではないか。蚊帳はアトピーをなくす要因の一つになると私は思う。

エアコンが健康に良くないことは明白になっている。
特に夜寝ているときにエアコンをかけると、身体に悪影響を及ぼすことが多い。わかっているけど、「暑さをしのぐにはエアコンが一番便利だ」「エアコンなくしては夏を過ごせない」という声を聞く。エアコンは日本の夏の必要悪に聞こえるときもある。

確かに今の日本の夏はエアコンのない生活は考えられない。エアコンがないと仕事の能率も下がるだろう。

身体の弱い人たちは暑い夏に苦しめられるだろう。エアコンをかけないと様々な弊害が出てくる。だから、エアコンの必要悪は仕方ないかもしれない。

けれど、夜寝るときにエアコンをかけっぱなしにするのは止めるよう勧めている。

人の眠りのメカニズムは眠りに入ると体温を下げる。そこにエアコンの冷房が作用して、体温を必要以上に下げ、身体を冷やすことになる。さらに習慣化すると、生体リズムを損ね、自律神経系やホルモン分泌のリズムを壊す。睡眠時のエアコンは利より、害の方がはるかに大きく、自殺行為に近い。

夏の夜、どうしてもエアコンをつけて眠りたいときには蚊帳を吊り、その外からエアコンの風をしばらくあて、涼しくなったところを見計らって、エアコンを消し、蚊帳の中に入り、床につくことをお勧めしたい。

エアコンの風を麻の蚊帳にあてることで、天然素材の麻がエアコンの風をまろやかにして、少しは眠りやすくなるはずだ。

また、エアコンが電磁波を発生する一方で、麻の蚊帳は電磁波の防壁としても高く評価されており、この点でも、蚊帳が私たちの健康や環境に有益なことがわかる。

暑いから、寝苦しいからといって、安易にエアコンを一晩中つけっ放しにして寝るのは絶対に止めるべきである。

(5)共生~共眠へのステップアップ

私たちの先人は有形無形の様々な財産を私たちに残してくれた。そして今、私たちは便利な生活をしている。

特に20世紀の科学文明の発展は驚異的であった。しかしながら、科学の発展はマイナス面も増大させた。前述のエアコンはその一つの例である。私たちはそのマイナスの弊害によって苦しめられ、そこから、脱却するために労力を費やす。戦争などはその典型である。プラスのものよりはるかに大きなマイナスを産み出す戦争を21世紀になっても、人類はまだしている。

また、社会、人文的な面においても、私たちは孔子や孟子、様々な偉人たちに教えを乞うている。先人たちの知恵を十分生かしていたならば、戦争も起こらないだろうし、国民に遊離した愚かな政治も行われないであろうに、いまだにこの地球上では、戦争も愚かな政治も消滅していない。

私たちは自分の愚かさを見つめなおし、今の世に足りないものを補うには先人の古の知恵をお借りすることが必要である。その中で、麻を素材にした蚊帳の活用はまさに古の知恵を21世紀に伝えるにふさわしい知恵である。

蚊帳の素材、麻は紀元前7千年ころから栽培され、衣類や雑貨品に広く活用されてきた。麻の特質をあげてみよう。
① 通気性に富み、細菌の発生を防ぎ、衛生的である。
② 熱伝導率が大きいため、水分の発散や吸湿が速く、さわやかな涼感を与える。汗ばんでも肌にべとつかず、乾きも速い
③ 耐水性に優れ、水に濡れると強度が六十%アップする。(羊毛の四倍、綿の二倍の強度)
④ シャリ感や張り、しなやかさがある。
⑤ 混紡性に優れ、相手の繊維と融合し、新たな風合いが生まれる。また、ポリエステルとの混紡などで、欠点であるしわになりにくい点を補うことができる。

こうして見てくると、エコロジーや地球にやさしい感覚が求められる現代に麻はうってつけの素材といえる。

蚊帳の提案を始めて7年目になるが、蚊帳の本来の目的である蚊から身を防ぐ以外にいくつも効用のあることが、蚊帳の購入者から聞こえてきた。新聞各紙でも掲載された。日経・毎日・共同通信 他

すなわち、虫から身を守る蚊帳と同じ働きをする殺虫剤の使用によって身体が蝕まれていくのが我慢できない。
アトピーや喘息の子供に殺虫剤を使わせたくない。
また、夏場の暑い時期、エアコンや扇風機の風を直接身体に受けるのでなく、蚊帳を通してまろやかなものにするなどといった理由から愛用者が増えてきている。

本年、蚊帳が夏場の虫から身を守るためのモスキュートネットから、四季を通して安心、安眠へ誘うスリーピングネットへと進化したと私は実感する。

ひとつ蚊帳の中で、親子は絆を強め、安心して眠りに就くことが出来る蚊帳。守られていると言う安心感がなんともいえないと言う声がたくさん寄せられている。

蚊帳を安眠空間として使用する人も多い。安心してぐっすり眠るための道具として蚊帳を使う。

これは現代人のみならず、古人もこの効果があるのを知っていたように思う。麻でできた蚊帳は麻の持つ霊験あらたかさが不思議な安心感をもたらしているようだ。

(6)今後の課題  「蚊帳の中」 と 「蚊帳の外」

ここ数年、蚊帳を販売し、購入された方の声を聞いていると、蚊帳は21世紀の必需品になるのでは? と思うときがある。

人類が作り出した有害物質によって、地球は病気を生み出している。今、環境面を十分に考えないと、私たち人類の生存さえ危ぶまれる。

環境面からいえば、ささやかであるが、蚊帳を使うことでこれまでより環境に関心が傾き、人々が様々な環境浄化に力をいれるきっかけになればと、今後も蚊帳の普及に努めていきたい。

「蚊帳の中」における点から面への寝床内の環境改善と「蚊帳の外」の空間であるハウスシックに侵された居住空間への対応、気温が急上昇する都市部のヒートアイランド現象に対する保水性のある舗装や屋上緑化などの対策、さらに地球規模での温暖化防止への温室効果ガス排出制限といった、地球全体を含んだより大きな空間への働きかけが私達人類によりよい眠りを提供してくれるものとなるであろう。

私たちの身体は宇宙と連動したリズムを持っている。

現代社会において「身体」も「心」もしっかりとやすまる環境づくりが我々の使命であると自覚し、物理的睡眠環境改善策がそのまま第二の身体的睡眠環境、第三の心的睡眠環境づくりに波及するものであることを確認する。

共生・共眠

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