サライ大人の逸品に蚊帳
日本の暮らしの中で育まれたやさしい涼しさを もう一度見直してみませんか。
特殊な織り方で、風通しもよく丈夫になった
アルミサッシで密閉された住環境、エアコンの普及、殺虫の徹底 などで姿を消したはずの蚊帳が、 全国の名旅館などで人気復活している。
蚊帳を張った部屋の寡囲気 が、リラックスできると大好評と いう話である。
しかし蚊帳は見かけのわりに、 風通しが悪く暑苦しいという、子供のころの思い出に、二の足を踏 む人も多いのではなかろうか。
当時はナイロンなどの化学繊維が使われることも多く、また麻や綿などの天然繊維であっても、平織りの生地を糊(のり)でがっちりと固めていたため風通しが悪かった。
昔の蚊帳は蚊の侵入防止と破れないことが最も重要視されて、快適さは二の次となっていたのである。
21世紀に生まれたこの現代の蚊帳は麻100%
絡み織りという特殊な織り方を採用しており、麻本来の風合いを生かしながらも丈夫で、表面を軽く糊づけしているだけなので、風通しがよく涼しい。
麻のもつ自然な湿度調節機能で、内部の体感温度は2~3度低くなるともいわれている。
エアコンによる冷えすぎがなく、自然の風の中、殺虫剤を使わず眠る安心感を再発見できる現代の蚊帳。寝室空間の快適性と、安眠の演出という新しい目的も担っているのである。