江戸に学ぶ 蚊帳の知恵

蚊帳と聞くと、子供時代の夏を思い 出す人も多いのではないだろうか。
意外なことに、蚊帳が一般に普及し始め たのは、江戸時代のこと。今や寝具で 有名な「西川」の2代目、西川甚五郎が1620年代、麻の生地を萌黄色に染めて、紅布の縁を付けた「近江蚊帳」を考案、人気を博した。
もともと蚊帳は唐から伝わり、当初、綿や絹製だった。室町時代に入り、高温多湿な日本の風土に合う麻の蚊帳が出てきた。
麻の蚊帳は古人の知恵

「麻の蚊帳の利点は蚊よけだけでばありません。吸湿・発散性に優れた麻の効果で、蚊帳内の湿度が下がり、涼しく感じます」と話すのは、「蚊帳の博物館」(静岡県磐田市)も運営する菊屋の三島治社長だ。さらに、美しい透け感は見た目にも涼しげ。中に入ると不思議に気持ちが落ち着く。あたかも、自然素材のシェルターに守られているようで、蚊よけという目的を差し引いても、安眠を助ける道具になりそうだ。
蚊帳 江戸に習う知恵

日経 大人のOFF 2007年 9月号 P72 に掲載された菊屋の麻の蚊帳
蚊帳は、日本の夏の風物詩だった。江戸時代、麻の蚊帳は高級品で、庶民は紙製の蚊帳を使っていたという。時代が進み、ナイロン製の蚊帳も出現。
昭和30~40年代には生産のピークを迎えたが、殺虫剤やアルミサッシなどの普及が進み、蚊帳は姿を消していった。
だがここ数年、江戸の知恵はそのままに、洗濯できる麻製の蚊帳や、ベッド用サイズなど、使いやすく進化した蚊帳が登場。蚊取り製品や冷房が苦手な人、安眠を追求する人などを中心に蚊帳独特の魅力が見直されている。「蚊を殺さずに身を守る蚊帳は、日本の平和な心の象徴なのです」(三島氏)。
以上 日経 大人のOFF より

よくあるご質問
蚊帳(かや)とは何ですか?
蚊帳は、寝床をぐるりと覆って虫の侵入を防ぐ、日本の伝統的な寝具です。昭和40年代までは夏の風物詩として、どこの家庭でも使われていました。
殺虫剤のように虫を殺すのではなく、網一枚で隔てて身を守る道具であることから、平和な日本の心の象徴とも言われます。菊屋は蚊帳を「虫よけの道具」ではなく「安眠の道具」と考えています。囲まれた空間がもたらす安心感は、蚊のいない季節にも眠りの質に働きます。
「蚊帳」は何と読みますか?「かちょう」でもいいのですか?
「かや」と読みます。「かちょう」と読むのは誤りです。
漢字の「帳」には「たれ幕」の意味があり、「蚊を防ぐたれ幕」で「蚊帳」です。なお「蚊張」と書かれることがありますが、正しくは「蚊帳」です。
「蚊帳の外」とはどういう意味ですか?
「仲間外れにされる」「話に入れてもらえない」という意味の慣用句です。
蚊帳の中は涼しく虫も入らない快適な場所だったため、そこから外されることが疎外の比喩になりました。蚊帳そのものが暮らしから消え、「蚊帳の外」という言葉だけが残りました。
蚊帳はいつから使われているのですか?
蚊帳が一般に広まったのは江戸時代です。1620年代、近江の西川甚五郎が麻の生地を萌黄色に染め、紅布の縁を付けた「近江蚊帳」を考案して人気を博しました。もともとは唐から伝わったものとされています。
昭和40年代までは各家庭で使われていましたが、アルミサッシやエアコンの普及、殺虫剤の登場によって姿を消し、2000年には日本蚊帳商工組合が解散しました。菊屋は1997年からインターネットで蚊帳の販売を始め、2004年のアースデー、2005年の愛・地球博への出展を機に、戦前まで当たり前だった麻・ヘンプの蚊帳を復活させました。
蚊帳は洗えますか?
吊るタイプの蚊帳は丸洗いできます。菊屋の天然素材の蚊帳生地は、たて糸を絡ませながらよこ糸を固定する「カラミ織」で、網目を固める糊を使っていないため、糊がはがれる心配なく洗えます。ただし、ワンタッチタイプの蚊帳と天吊蚊帳は洗えません。
浴槽などの広い場所で水またはぬるま湯を使い、やさしく押し洗いし、脱水機は使わずバスタオルで水分を取って吊った状態で自然乾燥させてください。乾燥機は使えません。ご自宅で難しい場合は菊屋でクリーニングを承ります(有料)。
蚊帳はムカデやゴキブリにも効果がありますか?
はい。ただし底生地のあるタイプが必要です。通常の吊り下げ式の蚊帳は下が開いているため、床を這う虫は防げません。
菊屋のムカデ対策蚊帳「はいらんと」は、全面が囲まれた形でお布団やベッドを丸ごと包み込みます。底生地は綿100%で、直接お布団を敷いても蒸れにくい仕様です。お客様の声から生まれた「元祖・ムカデ対策蚊帳」で、20年間で約3,000張をお届けしています。