蚊帳でマラリア防止
昔懐かしい蚊帳の普及に努めている磐田市中泉の寝 具販売業「菊屋」社長の三島冶さんが、アフリカ のマダガスカルで活動の輪を広げている。
同国では日本のNPO法人がマラリア被害防止や産業の振興を目的に現地で蚊帳の製造を計画しており、三島さんも技術指導などで協力。
今夏には同国に蚊帳三百張を贈った三島さんは「蚊帳は虫を殺さずに身を守る平和の象徴のような存在。病気にかかる子どもたちが一人でも少なくなれば」と期待している。
(以上 静岡新聞 平成19年10月22日 朝刊)
蚊帳で命を 暮らしを守れ
三島さんは、生産量がピーク時の百分の一に減少している蚊帳の復活を目指し、一昨年には同市中泉に日本では唯一とされる「蚊帳の博物館」を開設。その文化や歴史などを紹介するとともに、毎年世界で百万人以上が命を落とすマラリア対策としてアフリカヘ蚊帳を贈る運動を続けている。
マダガスカル大使と
マダガスカルヘの蚊帳の寄贈は、同国の技術支援に取り組むNPO法人「環境・エネルギー・農林業ネットワーク」 (EEFA、事務局・京都市)が、三島さんにマルク・ラヴァルマナナ大統領へのプレゼント用に蚊帳製作を依頼したのがきっかけ。
三島さんは二〇〇六年度のグッドデザインしずおか奨励賞を受賞した麻製の最高級品「菊紋和(きくもんなごみ)蚊帳」をベッド用に仕立て、八月三~十九日まで現地視察に訪れたEEFAの代表団が大統領に手渡した。
さらに、マラリア禍に苦しむ現地の様子を伝え聞いた三島さんは、マラリア対策用の蚊帳三百張を同国に寄贈。蚊帳は四つの病院に七十五張ずつ配布されたという。
今月十一日には、マダガスカル大使館(東京都港区)で聞かれたEEFAの報告会に招かれ、大使から感謝された。
EEFAによると、マダガスカルでは蚊帳はホテルなど一部で使用されているが、一般家庭では高価で手に入りにくいという。安価な蚊帳の普及と女性らの就業機会の増大を狙いに、現地で蚊帳製造の可能性を探るEEFAが三島さんに協力を要請し、趣旨に賛同した三島さんが快諾した。
EEFA理事長の芦田譲・京都大名誉教授は「原料の手当てや採算性など課題は多いが、安価な蚊帳を多くの人たちに提供できれば」と話す。当面は中古の織機を使用して化学繊維製の蚊帳の量産化を目指し、将来は天然麻との平行加工につなげたいとしている。
■10月16日 中日新聞