リンククラブで蚊帳と三島治

「日本吉を紡ぐ」蚊帳と三島治

菊屋 代表 三島治

Macユーザの声から生まれたコンピュータユーザーズクラブです。

そのリンククラブの発行する「リンククラブニューズレター」2009年7月号に「日本吉を紡ぐ」のコーナーで三島治が紹介されました。

蚊帳と私の自己紹介を載せていただきました。

記事にしてくださったのは松浦良樹さん。ここからのお付き合いで、東京・浅草に大麻と蚊帳の博物館を立ち上げた方です。

蚊帳こそ現代の日本の知恵

リンククラブに三島治

これから夜が寝苦しい季節がやってくるが、皆さんは蚊帳(かや)を使ったことがあるだろうか?今の世の中、特に都会では絶滅したかのように思われている蚊帳。古き良き時代や、昭和の遺物になりかかっていた蚊帳を現代に復活させた蚊帳博物館の三島治さんに、現代にマッチした蚊帳の素晴らしさや役割、その使命を聞いた。

 三島治(菊屋代表取締役 蚊帳博物館館長)

一度は消えた夏の風物詩

リンククラブに蚊帳

 夜空を彩る花火や心地よい音色を響かせる風鈴、涼やかな朝顔……。
以前はよく見られたそんな夏の風物詩たちの中には、最近はあまり見られなくなったものも多い。「日本の夏、○○の夏」といった蚊取り線香のCMもどこか懐かしい、古き良き昭和の姿として思い出の中だけに存在するかのようだ。
昭和30年代をピークに40年代には静かにその姿を消していった蚊帳(かや)もかつての日本の     夏を彩った風物詩のひとつ。現在では蚊帳といっても使ったことのある人のほうが少なくなってしまっているようだ。
蚊帳は気密性の高いマンションや網戸の普及によって減少の一途をたどり、2000年には「役割を終えた」として、日本蚊帳工業組合も解散した。蚊帳は夏の風物詩としてだけでなく、日本の歴史から姿を消し、21世紀を生きる私たちはエアコンの利いた気密性の高い部屋で、殺虫剤を部屋に充満させながら生活している。

インターネットの双方向性が現代の蚊帳を生み出した

 夏の快適な生活にエアコンは欠かせないものだ。しかしその反面、クーラー病といった新たな弊害として出てきたのも事実。
そのような中で蚊帳が注目され、静かに、しかし確実に復活し始めている。エアコンによる健康被害を何とかしたい、蚊は嫌だが赤ちゃんのために殺虫剤は使いたくない、自然の風を感じながら眠りたい…… そんな想いを持った主婦やビジネスマン、そして環境に配慮した生活を望む人たちに普及し始めているのだ。
火付け役は蚊帳博物館の三島治さんだ。静岡県磐田市を拠点にインターネットを通じた蚊帳の普及に努め、睡眠改善インストラクターとして、そして心地よい眠りの伝道師としても活躍している。
「安眠のための枕などを販売するサイトを立ち上げたところ、蚊帳を切望する声が多数寄せられたんです。ぜひともそれに応えたかった」
サイトを立ち上げたとき、三島さんが父親から受け継いだ布団店の売り上げは全盛期の半分にまで落ち込み、実はすがる思いでインターネットでの販売を始めたという。
「ユーザーの声に応えて洋室用、赤ちゃん用、ムカデ対策用などさまざまな蚊帳を開発してきました。これらの声がなければ蚊帳は進化してこなかった」

 進化を続ける現代の蚊帳は織りも進化している。従来の蚊帳は平織りといわれる糸を交互に重ね合わせて網目を作る手法だが、時間とともによれ、それを防ぐために糊などで固めているため、洗濯するのが難しかった。しかし、三島さんの開発した蚊帳はからみ織りという手法で、糊付けしなくても丈夫で洗濯も可能な織りを採用している。
「からみ織りはもともとシラス漁の盛んな磐田の漁師網に使われていた技術。地元の技術を活用したんです」
三島さんの活動はリアル店舗では獲得できないインターネットによる広域なユーザーを獲得するとともに、地元に根ざした技術や伝統を継承する試みでもあるようだ。

「蚊の餌食になるのを防いでいたら蚊帳の餌食(ファン)になってしまった(笑)」

 さて、こうして復活のきざしを見せる蚊帳だが、その歴史は古く、紀元5世紀にまでさかのぼる。本格的に作られ始めたのは奈良時代。材質は絹か木綿で、「奈良蚊帳」と呼ばれていたという。その後、室町時代に入って近江商人が麻の蚊帳を開発し、「八幡蚊帳」として人気を集めた。現在高級布団メーカーでもある京都西川もこの八幡蚊帳の行商がスタートだった。

その後、近江商人などの手で日本中に普及し、日本の夏にとってなくてはならない風物詩にまでなった蚊帳も、戦後まで話をはしょれば、気密性の高い住宅の建設や網戸の普及、下水道の普及による蚊の減少、エアコンの普及、強力な殺虫剤の登場と次第に活躍の場を失っていったのだ。

循環する蚊帳の役割

リンククラブに蚊帳

 しかし、現在に復活した蚊帳は単に蚊を防ぐ道具としてではなかった。
「蚊帳は蚊避けの蚊帳から、安心の蚊帳→ 安眠の蚊帳→ 癒しの蚊帳→ 祈りの蚊帳→ 究めの蚊帳 →命を守る蚊帳と循環しながら進化しています」

蚊帳が蚊を防ぐ道具としての機能しかなければ、おそらく現代に復活することはなかったに違いない。それは、蚊帳の持つ独特の空間性が建築家やデザイナーにも注目されていることからもうかがい知ることができる。瞑想空間として一年中活用する人もいるという。お姫様気分が味わえるインテリアとして若い女性たちにも活用されているようだ。

また、麻素材の持つ通気性や抗菌性、質感なども重要な要素だ。麻でできた蚊帳の中では温度が2度~3度下がることも実証されている。まさにエアコン要らず。三島さんはそんな安眠の蚊帳を「スリーピングネット」と名づけている。

「蚊を防ぐ道具としてだけでなく、現代を生きる私たちが何かを取り戻すことができる大きな空間を小さな蚊帳の中から作り出し、そして世界の平和を祈り、地球を救うことまでできると考えているんです」

モスキートネット(蚊帳)は地球規模で活躍している

 日本では一度消えてしまった蚊帳も世界では「モスキートネット」として活躍している。途上国では蚊を媒介にするマラリアの画期的な防御策として普及し、大きな効果を挙げている。アフリカを中心にマラリアが風土病に指定されている国は約100カ国。毎年100万人以上の子供たちが命を落としている。
三島さんは売り上げの一部をアフリカに贈る活動や、カメルーンに蚊帳を贈る運動を展開している。
「蚊帳のおかげで私は生活していく糧を得ました。その感謝を社会に対して返していきたいんです」
三島さんだけでなく、私たちにもできることはある。そのひとつがユニセフを通した支援ギフトとしてアフリカをはじめとするマラリアで苦しむ途上国に贈ることだ。10張り1セット5000円で30秒に一人消えていく子供たちの命をわずかでも救うことができるのだ。
「枕というひとつの点に始まり、それが蚊帳という立体的な面へとつながり、そして人の心や世界までも救う大きな動きへと広がっていくんです」
蚊帳の中へ入ることは、私たちがどこかに置き忘れてきたものを取り戻すチャンスでもあり、未来を見つめなおすきっかけにもなるようだ。
今年の夏はエアコンを切り、自然の風にあたりながら虫の音をBGMに心地よい眠りを試してみてはどうだろうか。
「今年は蚊帳元年」という三島さんの蚊帳への想いはまだまだ熱く、蚊帳はこれからも伝統を継承しながら更なる進化を続けていくようだ。


松浦良樹さん 身に余る記事をありがとうございす。

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リンククラブ 2009年7月号

 

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