心地よいねむりの先にあるもの
インド綿のショールは、脱いだ状態では長方形の袋。
袋状に縫われているのは下半分だけで、縫い目のスタート地点を背中中央にあてて羽織ると袋の部分がたっぷりとしたドレープになって、ゆたかなバックシルエットを作り出す。
すっぽりと簿布のショールに包まれると、それだけで眠くなるほどの着心地のよさの背景には、デザイナーのもつ素材への徹底した配慮がある。
そして流れるようなドレープが醸し出す優美さは平安時代の貴族のような高貴な眠りを約束してくれそうだ。
日本の蚊帳と眠り
「ねむり」は幸せを連想させます。
「ねむり」は死を連想させます。
「ねむり」は神秘の世界への旅を連想させます。
全ての人が「ねむり」の時、幸せで安堵に包まれればすばらしい世界になるでしょう。
デザインの背景にあるアイデアについてこう語る前田征紀は。思いがけない発送を美しい服につなげるクリエーションで、パリ・コレでも注目の若手ファッションデザイナーだ。
一方、パリのインテリア見本市で日本の蚊帳が注目されていると言うニュースもある。
一度は廃れたかと思われた蚊帳。しかし、快眠への関心が高まるなか、新しいライフスタイルに合わせた素材開発やデザイン改良を加えた蚊帳が、独特の癒し効果も話題になって、人気復活の兆しをみせている。
ねむりと言う日常生活の神秘体験を追及するその先により快適な暮らしや、新たな創造への可能性が拓かれる。
LIVING design 41 より