大使館からタイ王国工業省へ
2022年12月2日、しばしヘンプエキスポ2022の会場を抜け出して、タイ王国の工業省副大臣 ディーラユット・ヴァルニツァン氏と今後のタイのヘンプ産業、とりわけ繊維産業の振興について、協議してきました。
はじめの予定では、今年の9月1日に工業副大臣が菊屋までお越しになる予定だったのが、タイ国内の政治的な事情で大臣クラスの出国禁止を受け、菊屋から東京の在日タイ大使館へ出向き「ヘンプ会議」をしてきました。
大麻栽培で収穫されたヘンプ繊維
9月1日の在日タイ大使館での「ヘンプ会議」で明確になった課題を「How Hemp Products are Made」として、まとめて公式訪問に臨みました。朱字にしたタイ国政府と菊屋の課題について協議しました。
すなわち、9月1日に、タイで栽培されたヘンプ繊維を、糸にするための紡績技術を教えて欲しいという宿題が私に与えられていたのでした。
それを受け、私は日本国内はもとより、台湾をはじめ一部東アジアの各方面の紡績会社に尋ねてみました。
しかし、その結論は、綿などを混紡すれば、ヘンプ 100%の糸にする紡績技術を績を実用的なレベルまで引き上げるのは、難しいという回答ばかりでした。
現在、菊屋製品の原材料として用いているヘンプ糸は、フランスノルマンディ産のヘンプを、イタリア・ベネチアで紡績して、日本に引張ってきています。
イタリアや中国の紡績技術は確かに高いです。タイ工業省の意向は2027年までにタイ国内にその紡績産業を構築することです。
ヘンプ繊維からヘンプ糸へ
日本では、富国強兵・殖産興業と明治時代は富岡製糸場をはじめとした紡績産業に力を入れ、高級な絹糸や、良質の綿糸、そして磐田にもあった帝国繊維(帝国製麻)が麻糸をつくっていました。一方、大麻(ヘンプ)は家庭でも栽培されているほど一般的なものでした。
それが1960年代ころから、日本は製糸業から重化学工業シフトし、1970年代から糸づくりは海外に任せるようになり、日本の紡績産業は空洞化してしまいました。
そのように、紡績工場はなくなってしまったのですが、日本にはそのノウハウはあるはずです。
そのノウハウを集積して、またイタリアや中国の紡績技術をも採り入れて、なんとかして、タイで栽培されたヘンプ、その繊維を糸にする紡績工場をタイ国内に、作るお手伝いができるよう協力して行きましょうと、話し合ってきました。
2027年「ヘンプ立国」を目指し
2027年にヘンプ 100%でクオリティの高い糸を作るタイの工場建設!
今回のタイへ来たのはヘンプエキスポと、タイのヘンプ立国のお手伝いです。