地球にやさしい麻と蚊帳

麻の蚊帳とヘンプの蚊帳

麻の蚊帳

「麻の蚊帳」といっても、いろいろな種類がある。

菊屋はタテ糸ヨコ糸をからみ織りで「令和の蚊帳」と命名することにした。そして、【麻の蚊帳】と【ヘンプの蚊帳】を識別した。

 

「ヘンプ」から連想されるのが ヘンプ→大麻→マリファナ愛好家を匂わせる。

確かに現在日本では、法律違反の大麻である。しかし、ヘンプを好む人たちの中には、真摯に環境問題と取り組み、地球資源としてヘンプの特徴をよく知っていて、さらに日本の精神文化としての大麻を見直そうとしている人々が大勢いる。

 菊屋が初めて、大麻の蚊帳をつくり上げてから10年が経過した2014年からは、NPO法人日本麻協会と麻地球日実行委員会による、ヘンプに特化したアースデーに参加するようになった。

麻地球日(麻アースデー)は、バイオマスの象徴的作物である「麻」をもう一度見直すことによって、今を生きる日本人が、伝統文化・精神文化としての「麻」をもう一度思い出し、今、世界中に広がるこの自然の恵みとしての「麻」をいかにとらえ、未来へとつなぐためにどう生かすのかを考えるイベントとなっている。この先、人類はどこへ行くのだろうか、といったいよいよ切実さを増す大問題ともつながっていくテーマに違いない。

 私は、睡眠環境の改善のためにできるだけたくさんの麻素材を用いた安眠空間としての蚊帳をつくっていたにすぎないのだが、アースデーという世界規模でのイベントに大麻の蚊帳をもって巻き込まれることで、あたかも睡眠という仮想の世界での蚊帳が、リアルな世界の問題、つまり地球環境問題と向き合うことになったのだった。

アースデー、愛・地球博に出展した麻の蚊帳

菊屋3Sの図

 サティシュ・クマールの言う「土と魂と社会」の三位一体、人と社会と地球のケア・サイクルとしての問題提起を、私もまた麻を通して考えさせられるのである。すなわち、大麻と環境問題、大麻と日本人のアイデンティティと魂という課題、そして大麻と社会性についてである。

地球環境を考えることの象徴として、大麻(ヘンプ)の蚊帳を作るようになったわけだが、さて、古くて新しい蚊帳をつくるようにと与えられた素材としての大麻・ヘンプとはいったい何であろうか?

 アースデーや愛・地球博へと私を牽引していったその蚊帳素材としての「大麻・ヘンプ」とはいったい何であろうか?

いろいろある麻の種類

麻と蚊帳

家庭用品品質表示法で「麻」として認められている苧麻(ラミー)も亜麻(リネン)も、それぞれ歴史ある素晴らしい特徴を持っている。

亜麻(リネン)は人類最古の繊維といわれ、紀元前800年に世界文明の発祥の地、チグリス・ユーフラテス川に芽生えたとされる。古代エジプトでは、リネン製のカラシリス(巻衣)が、「神に許された」ものとしての神官の衣服や神事に用いられ、一般の衣服にも使われていたことが、古い文献から明らかになっている。

ピラミッドから発掘されたミイラを包んでいる布もリネンである。先史時代のスイスでは、湖上生活をしていた民族がリネンの衣料や船の帆やロープを作っていたという。それはそのままヨーロッパの文化に引き継がれ、長い歴史を築きあげ、悠久の伝統を誇っているのである。

 なるほど亜麻(リネン)は神聖にして厳かな繊維といってよいであろう。

しかし、地球環境問題の視点に立つと、浮かび上がるのは大麻(ヘンプ)なのである。ヘンプを資源としてみると、繊維からは衣類、縄、紐、紙ができ、繊維をとった後の麻幹(オガラ)からは建材、炭、プラスチック副原料、燃料、動物用敷藁ができ、種子からは食品、化粧品、塗料、潤滑油が、葉からは肥料、飼料を、花からは医薬品と25,000種類の生活用品ができる植物資源なのである。

ヘンプならではの蚊帳にマッチした特徴

麻の種類と蚊帳

ヘンプは、植物学的にはアサ科に属す一年草で、毎年再生産ができる持続可能な資源でもある。また、昔から百日草とも呼ばれ、3カ月で約3メートルにまで成長し、そしてその際、多量の二酸化炭素を消費する。二酸化炭素削減にも大いに貢献する、

地球環境保護のために優等生のような存在なのだ。しかも、病害虫に強い作物だから栽培に当たり、殺虫剤、除草剤などの農薬は不要であり、痩せた土地や半乾燥地でも栽培可能で、その生態からしてオーガニックな植物ということになる。

 ヘンプはさらに、技術が進めば石油に代わる植物由来の工業用基礎原料になることが予想されることから、石油メジャーなど現代の世界経済を牛耳る支配階層には、放置しておけないバイオエネルギー源ということになるであろう。

 そんな素材だから、蚊帳そのものが地球にやさしい道具だというところにもってきて、素材としての大麻が参戦すれば、まさに鬼に金棒、そんなことからもヘンプの蚊帳はアースデーや愛・地球博のシンボルとなったのだろう。

 麻の量を増やすことによって、より安眠できる環境が得られることは古人の知恵に習ってはいたが、麻の中でも大麻(ヘンプ)は、苧麻(ラミー)や亜麻(リネン)と比べ、さらに地球環境にやさしい植物であることも学んだ。

 繊維全般を扱うふとん屋が、他をおいて大麻だけを良いとしてあげつらってはならないと思っていた。綿にしても絹にしても素晴らしい特徴を有しているのである。

綿の入った片麻、綿麻の蚊帳

もえぎの蚊帳天井

一般的な蚊帳は、経糸に綿(コットン)を使用している。色も化学薬品で緑色や青色に染めている。

木綿は、衣料用繊維としては16世紀に渡来した植物繊維である。

それまでは麻が繊維の中心だったのだが、麻に比べると格段に保温性が優れ、肌触りも柔らかく、繊維としての商品価値は高い。

実際、私たちの着ている服の半分以上が木綿(コットン)だ。コットン100%というと、いかにもナチュラルな感じがするのだが、そうとも言えない。その逆に、コットンを身につけているだけで、私たちは農家の人々の身体を蝕み、土壌汚染と水不足を招き、大地の荒廃という環境破壊に貢献している可能性がある。普通の農産物ならば、口に入れるものなので身近な問題として関心に上りやすいが、衣服となると自分とは遠い、異なる世界の出来事として無関心なままであるとアースデーに参加して学んだことだ。

 木綿の栽培は、全世界の農地面積のたったの2%を占めるにすぎないのに、殺虫剤、除草剤、土壌消毒剤などの農薬使用量の26%を占めているといわれている。収穫時には人工的に葉や茎を枯らさないと、葉の葉緑素がシミになってしまうので、コットン畑に枯葉剤を飛行機から空中散布する。

また、かつて世界第4位の湖であったアラル海は、周辺のコットン栽培によって干上がってしまった。コットンは、成長時に大量の水と栄養分が必要となるからだという。

それに比べて麻は、農薬を必要とせず、わずかの肥料でこと足り、雑草や害虫に強いため、コットンように環境破壊を招かない作物ということになる。根は、地中深く張って土地を柔らかく耕してくれるので、温帯だけでなく、亜寒帯、熱帯、半砂漠地帯など荒地でも生育でき、世界中どこにでも栽培できる。
特にアパレル業界において大麻(ヘンプ)は、オーガニック・コットンと並ぶ天然素材として認知されている。麻は、あえて「オーガニック」といわなくても、はじめからオーガニックな素材だということなのだ。

 さらに、麻繊維の構造やその成分から消臭性、抗菌性が高く、体の湿度を適度に保つ機能をもっている。高温多湿な日本において「大麻」は欠かせない繊維なのである。

アースデーに参加していた環境面を重視する人たちは、ヘンプとオーガニック・コットンを選んでいるのだが、そんな素材で蚊帳を作るようになっていた私もまた、改めて環境問題について学んだのである。

麻とヘンプの蚊帳と綿についてご理解いただけたでしょうか。

            文責 菊屋・三島治

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