古代日本史から蚊帳の研究

麻と神、政治・経済が「蚊帳の中」

伊勢神宮

古代律令制の成立とともに、伊勢に天照大御神を祀り、天皇をトップとする日本神道が確立し、日本全国にその支社・末社が造られた。

それまでは太陽や月、大地や岩などを神とみたてて祈り、人々を治めてきた者は、神の声を聴く呪術に磨きをかけたものだと思われる。

そこでは、呪力を高めるために大麻が使われ、やがて大麻は神道の「めどう」ともなったのではないか。一般的にはそのように考えられるのだが、本当はもっと深いところで麻と神の関係があると思われる。

大麻の持つ不思議な力は長い歴史の中で、人々の間に魔力性、呪術性、さらには神秘性、神聖性を喚起するものとして、自然宗教と絡むようになり、ある種の象徴的な信仰まで醸成したといえよう。そこに大麻が天照大神の化身とまで崇められるようになった背景があると思われる。

この辺りから転調して、改めて、おおあさの神秘性について考えてみよう。なぜ大麻には不思議な力、呪術性、神聖さがあると崇められたのかについてである。それにはまず、おおあさの持っている次のような三つの属性があげられる。

麻が尊ばれる三つの理由

まっすぐ伸びる大麻

一つ目は、「麻中之蓬(まちゅうのよもぎ)」である。
まっすぐに伸びる麻の中に生えれば、曲がりやすい蓬も影響を受けてまっすぐに伸びることから、良い環境の中では悪しきものも正されるということを指しているが、この短期間でまっすぐに成長する麻の成長力の強さ、そして周囲におよぼす強い影響力は、信仰の対象に値するであろう。

二つ目は、大麻繊維そのものの強さである。
引張強度では綿や絹の二倍、羊毛の三倍の強さがあるのだが、さらに海水につけても切れにくいという耐水性ももっている。そして繊維を撚(よ)ること、そして編むこと、結ぶことといった技術で変幻自在の強さを発揮するという点も、神秘性に値する。

そして、結びの三つ目は、やはり大麻の持つ覚醒作用である。
国産大麻のテトラヒドロカンナビノール (THC)の量は少ないにせよ、意識を変える作用、向神経作用はある。この力が神秘性を言うに値する。

しかも、国づくりを始めた女王がこの大麻の呪術性を使って、人々の幸せを願い、政(まつりごと)をしていたとあれば、大麻がそのまま信仰の対象となったとも考えられよう。神道の本家本元が大麻と考えても許されるだろうから、大麻は神社神道での神事には欠かせない植物といえる。現在大麻は、年間800万体以上配布されている伊勢神宮の神札に神宮大麻として使われている。

神社神道で用いられる麻とは、大麻草の茎から表皮を剥いで、熟練の技術で研ぎ澄ました黄金色の「精麻」のことを指す。精麻は古より、「海水でも祓いきれない穢れを祓う」特別な祓い清めの道具として、神と人間とを取り結ぶ場面に必ず使われてきた。

例えば、注連(しめ)縄(なわ)はご神域と現世とを隔てる境界線となるのだが、この素材も大麻である。
ヘンプしめ縄

また、神社のお賽銭箱の前にある鈴のついた縄、鈴(すず)緒(お)も大麻でできている。そのほか、神主がお祓いで使う白いハタキのような道具は「大麻(おおぬさ)」と呼ばれ、和紙と大麻でできている。

このようにして穢れを祓い、聖なる領域を作る植物としての大麻は、弓道の弦の糸にも使われている。弓に矢をつがえずに弦を引き、音を鳴らすことによって、魔気・邪気を祓う儀式として、鳴弦(めいげん)の儀(ぎ)という退魔儀礼がある。麻製の弦の響きにより魔気・邪気を祓うとされているのである。

さらに、大相撲の横綱は野州麻を撚って作られており、単なる飾りではなく、注連縄としての意味があり、また強さの象徴ともなっている。

蚊帳の由来が古代日本史の中に

ヘンプの蚊帳の中へ

さて、大麻がそれほど神聖なものであるなら、大麻でできた蚊帳空間は、まさしく聖なる空間ということになる。

蚊帳の由来について、奈良時代初期に編纂された『播磨風土記』には飾磨郡加野里の地名の由来と併せて「加野と称するは,応神天皇の巡行の時,ここに御殿を造り,蚊屋を張った故に加野と名づけた」と書かれている。

また『日本書紀』にも,応神天皇の時代、「呉から蚊屋(かやの)衣縫(きぬぬい)という女性技術者が渡来した記録がある」とのことで、応神天皇も蚊帳と深い関係がありそうだ。応神天皇は、御陵で有名な仁徳天皇の一つ前の天皇である。

天照大神の化身を大麻として祀り上げ、応神天皇が蚊帳の帳の中で自らを守ったり、人々の幸せを祈ったりする場所として政をとりはからう、日本には独自の大麻の帳があったのではないかと、私は想像を逞しくするのである。

アメリカでも麻・ヘンプは心のよりどころ

アメリカ独立宣言

みんなが幸せになるように!といった祈りの植物としての大麻、これは我が国のみならず、アメリカにおいても、似た事例がみられる。独立宣言文の文書は大麻の紙に書かれているのである。
ジョージ・ワシントンは、麻栽培者であり、アメリカの独立と麻は深い関係にあった。当時、アメリカは紙の原料をイギリス産パルプに依存していたのだが、このために危機感をもったベンジャミン・フランクリンは、イギリス産パルプの代わりに麻を使用することを思い立つ。そこで、自らの工場で麻の紙を造ったという経緯があり、アメリカの独立宣言は麻の紙に書かれたと言われているのである。

政治と大麻との関係もチラホラ見うけられるのだが、日本の天皇と大麻との関係は、神懸かり的な力も加わって、さらにホットな関係にあると思われる。

 平成から令和へ 麻でつながる

即位の礼  写真は日本経済新聞社 高御座で即位を宣言される天皇陛下

天皇が交代すると年号が変わるが、同時に、皇太子が天皇として即位するためには、天皇ならではの力が、大神によって授けられなけば、国が治まらない。
その皇位継承の儀式である「大嘗祭(だいじょうさい)」において、もっとも重要な「麁服(あたらえ)」という巻物のように長い一枚の大麻の織物が祀られる。

大麻の麁服は、どこの地方の誰が作ったものでもよいわけではなく、朝廷が指定するのは、必ず徳島の三木家が作った大麻の麁服である必要があり、正式には「阿波(あわ)忌(いん)部(べ)族(ぞく)」の麁服でなければならない。阿波忌部族とは、大和朝廷建国にも関わった古い氏族であり、農業を中心とした産業技術を持つ職人を引き連れた集団で、日本全国に散って大麻を普及させたことでも知られている。

こうして大麻は、神と、政治・経済と、人々の幸せに大きな力を持つ植物であるとともに、それにともなう責任ある存在だともいえよう。今を生きるわれわれも、もっと大麻を理解し、大切にしなければならないと思うのである。

神の依代として用いられる麻のチカラ

神の依代へンプ

「世界中が平和で、みんな、安心して安眠できますように!」

透け感のあるカラミ織で織り上げた大麻の蚊帳生地は、人智を超えた神秘な場面でも使われている。

 1300年もの歴史のある 倭巫女舞(やまとみこまい)様です。

その倭会の会長、倭瑠七先生から次のようなメッセージをいただきました。

 「倭巫女舞はおよそ1300年の歴史があり、先人たちは舞う時に麻布で作られた衣装を着て舞ってまいりました。
 しかし近年は入手が大変困難なため、いたし方なくシルクなど他の布の衣装で舞っていました。
この度、麻布との御縁をいただきまして、麻の衣装を身に纏い、先人と同様の舞が舞えますこと、心より感謝いたしております。
 麻は皆様もご存じのように古来より神社で使われ、大変神聖な植物として崇められてまいりました。
また、雑草の中にあっても強く天に向かって真っ直ぐに育ち伸びる様はどんな困難にも立ち向かっていける、人の役に立つ立派な人になれることど、私たちの願いや思いをかなえる要素も持っています。

 実際に身に纏いますと言葉には表せない不思議な感覚があります。
古代の巫女(みこ)舞(まい)の振りにありますところの、天のエネルギーを直接受け取れる感覚とでも言いましょうか? そしてそのエネルギーを地上に流す感覚も実感でき、舞の要でありますところの天地統合の軸を作る所作が楽にできます
 なんとも不思議なのですが……やはり麻の持つ特殊なエネルギーなのでしょうか。
実際に身につけてはじめて、古代の人々が麻を珍重する意味がわかりました。

   ありがとうございました。」

倭巫女舞の麻の衣装

麻・ヘンプは、日本人にとっての心のよりどころと言えましょう。

蚊帳は心のマスクともいえましょう

ヘンプマスク

穏やかに迎えたつもりの「令和の子年」でしたが、コロナウィルス感染拡大で世界は不安と恐怖で大荒れ模様。

「役に立ってこそ生かされる」と菊屋ならではのマスクづくりに立ち上がりました。

マスクはマスクでも、洗えて、何度も使えるおお麻・ヘンプ100%のマスク。本格シーズン前に織り上げている丈夫で通気性の良い【カラミ織】の蚊帳生地、
そして、新たに枕やシーツ用に織り始めた無漂白・ナチュラルカラーの【平織】の生地。

この両者を縫い合わせたヘンプ100%のマスクづくりへの挑戦しました。

蚊帳の素材のマスクですが、蚊帳は心のマスク・【いやされマスク】と命名しました。

菊屋のヘンプマスクいやされマスクのバナー

 

文責 菊屋 三島治

 

 

 

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